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 一回目ゲスト 杉本達さん(TORU SUGIMOTO)
名前 杉本達 さん
過去に手がけた番組として『カノッサの屈辱』、『TVブックメーカー』、 『ジャイアント将棋(ラスタとんねるず)』『気分は上々』『ウィーケストリンク』 『世にも奇妙な物語』『ウンナンのホントコ』などがある。
『映画版未来日記』では監督も努めた。

現在はフリーの演出家として活躍中。
テレビ以外のメディアに進出中とのウワサ。
4.「ウンナンのホントコ」「未来日記」そして、これから
高須 そんなこんなで「上々」の後、更に「ウンナンのホントのトコロ」が 始まるわけやけども、
当初はね、世間のほんとのところを探って 紹介していこうっていう番組やってん。
それが、今は恋愛のほんとの部分という、いろんな側面 を暴き出そうって感じに発展して、
「未来日記」というでっかい企画にひとつ集積されたって感じかなぁ。
でも、その未来日記も最初に説明してひっかかってきてくれたんはすぎもっちゃんだけやってん。
杉本 最初はロードムービーっていう案やってんね。
そもそもは『ウンナンの気分は上々。』の番組そのものを 映画にしようという企画でね。
初期の「上々」のあのロードムービー的な部分を映画にしたら面 白いのでは?
って感じで、テストロケまでやったんよな。 ウッチャンと女優さんが一週間の旅に出る、
旅の途中では台本が逐一渡される、だけどその台本には台詞はなくて
ト書き(演技の大まかな解説文のようなもの)しか書かれてない。
で、男女それぞれに台本があって、男はホテルに車を入れるとか、
女は女でシャワーを浴びに行く、とか…
でも、その台本の 存在をお互いは知らないから、
どこまで台本でどこまでが本気 なのかが分からない。
そして、最終的にはキスをする、という。
全部全部、お互いの「素」の間でやるしかないっていう…。
高須 その芸能人らしくない表情っていうのは新鮮でおもろいんとちゃう? って言ったら、
すぎもっちゃんがそれはおもろいわーって言うてくれて、
ナンチャンも乗り気やってんけど、結局没になって、流れてしまったわけ。
杉本 あれはなぁ…ほんまに痛かったなぁ…。
高須 で、仕方ないなぁ、と俺はもうその企画を忘れてしまってた。
したら、「ホントコ」やってる時にすぎもっちゃんが
「あのロードムービーの企画、テレビでやれへんか?」って言い出してん。
俺は「ええっ、テレビでできるかー?」と半分不安で、
すぎもっちゃんは「いや、できるできる、できるって」とえらい乗り気でね。
杉本 乗り気っていうか、あかんかったらあかんでええか、と思っててん。
高須 なんじゃそら!
杉本 「ホントコ」自体が伸び悩んでた時期ではあったからさ、
どっかやぶれかぶれでやってまえってなもんや。
視聴率を目指すコーナーを作って番組の延命処置をするぐらいなら、
番組が終わる可能性を覚悟してでも勝負したかった。
あれは『ホントコ』の初めての2時間スペシャルの時で
2時間を埋める企画が地味なもんばっかりやってん。
で、地味に守りの2時間スペシャルをやるぐらいなら
負けてもいいから攻めの2時間スペシャルをやりたかった。
その時の自分が面白いと自信を持ってたんは『未来日記』だった。
そうは言っても会議では反対意見も結構あったしね。
しかもほら、俺はタレントではなく、素人さんでやろうって言ってたから。
高須 そうやそうや。素人、っていうのに俺はひっかかったし、
他のみんなはなおさら不安になってしもててんな?
杉本 そうそう。ところがまぁ、蓋を開けてみたらまぁまぁの反応で
「いいんじゃない?よくなっていくんじゃない?」って 空気になっていったんよね。
意外にも最初の『未来日記』はかなり視聴率がよかった。
『未来日記』の部分だけなら20%は越えていたし、
2時間スペシャルの視聴率も16%ぐらいあった。
視聴者には早めに支持されて、その反応は嬉しかったなぁ。
結果的にだから、「上々。」と「ホントコ」は『未来日記』という企画を通 じて
兄弟番組ってことになったよね。
高須 せやね、繋がってるんよね、実は。
要素が行ったり来たりしてるというか、企画がうまく活かされる空間を
番組同士で自由にやりとりしてる感じかなぁ。
 
高須 さあさあ、「未来日記」も一息ついたところで、 どうする?これからのテレビ。
杉本 テレビ…なぁ。
こんな事言うのもはばかられるけど、 俺、あんまりテレビ見ぃひんからなぁ(苦笑)。
高須 どんなん創っていこう…。
あ、でも俺とすぎもっちゃんってところで限って言えば、
人の心が動く瞬間とか、ぶれたり、震えたり、ずれたりして 動くような企画が好きやんか。
杉本 せやね。
高須 だからもし、二人で何かまだやるとしたら、
絶対 そういう現象を捉えていくような、
そういう「何か」に なっていくような気がするよね。
杉本 言葉にはしにくいけど、見えない『何か』!
でも人間の心理的には 分かる!分かる!という感じ。
見えないからこそ『かきたてられる何か』。 ちょっと心理学入っているけど、
テレビって映像のあるメディアやけど 絵はあるけど、そこに流れている空気を感じさせる。
想像させる遊びを お互い好きやからなあ〜。
『気分は上々。』にしても『未来日記』にしても そこを面 白がって作った番組やから…。
今後もふたりで作るもんって そこを面白がるものやろなあ。
高須 それがテレビであっても、映画であっても、はたまた他の 何かであってもね。
 
杉本 なんだかんだ言うても、テレビって結局『オリジナリティ』やんか。
高須 うんうん。
杉本 人の二番煎じに可能性を見る、ってことは有り得へんねんから、
やっぱり一番最初に何かを発想して、一番最初にやった人間の 勝ちやったりするからね。
だからこそ、他の人達が「それってやったことないよね〜」って
不安がるような企画を圧倒的にやっていきたいと思うよ。
それをやっていかなあかんねん。
そこが一番、鉱脈として でかいわけやし、持続力もあるしね。
高須 まぁ〜、そのわりに「未来日記」は早よ使いすぎた感、
あるけどなぁぁぁ〜(笑)。 頑張りすぎて、乗っけすぎたなぁ〜。
杉本 それはあったなぁ(笑)。
 
杉本 人とは違うことをする。 人とは違う切り込み方をするっていう、
ホントにそれだけの こと、全ては。そのための努力を惜しまないことだけ。
俺にはそれしかないもん。 例えば「見せ方」ていう部分だけにこだわっても、
俺はきっと片岡(飛鳥)ディレクターとかに負けるやろうし、
コントを撮れって言われても、俺にはきっとでけへんし、
小松(純也)ディレクターに勝たれへんと思う。
だとしたら、ディレクターとして俺にできることは、
ただただ新しい視点を、新しい企画を見つけだしていくって ことだけやと思う。
そこで生き残ってるっていうかね。
高須 やっぱし、すぎもっちゃんは言葉が好きやし、会話が好きやんか。
それってすごい個性やと思うのよ。会話系の企画というか、
人間の核の部分を見せていく企画に乗ってくるから、この男は。
で、人間って結局どれだか科学が進歩しても、哲学的に進化しても、
最後の最後はどうしようもないことしかでけへんねん。
それは例えばタンカーが座礁して、油が海岸を真っ黒に汚した時に、
結局人々がひしゃく持って、人海戦術で油を掬っていくしか 無かった、みたいなことでね。
二十一世紀目の前にしても、 人間にしかでけへんことをするしかなかったというか、
単純作業が全ての機械とかを上回ったわけやん。
俺とすぎもっちゃんの感じるおもしろさってそういうところなんやろなぁ、と思うのよ。
大学教授とかその道の技術者のプロとかが、 大学教授のくせにプロのくせに、
いざという時、ものすごい危機状態の時は 「こんなことしか考えられへんのかぇ!」
ってことしか考え出せなくて、 ああ、人間って結局はすごく原始的なことしかできないのかぁ、
っていう、 そういうもどかしさとかをね、描き出すのが好きなんよなぁ。
二人で「人間って最後の最後、やっぱり単純でおもろいなぁ」って 共通して感じられるんよね。
恋愛でもそう、切羽詰まったりする一瞬もそう。
その瞬間瞬間の、人間くささっていうのがたまらんかったりすんねん。
そこをほじくり返すようにして見せるテレビを作りたいねん。
杉本 例えば「トーク番組やりましょ」って言われても、
ただの普通のトーク番組っていうのを素直にやることは でけへんねん。
さらっと人間の本質部分を見逃していくような 流れのトークなんて、
おもしろくないと思ってしまう。
おもしろくなければ、やってて気持ちよくないから、でけへん。
で、「もっと違うことやろう!」って意気込みすぎて、
手を加えすぎて 結果的に失敗することも、確かに多いから…
だから多分、 そんなに優秀なディレクターではないのかもしれへんわなぁ。
高須 でも、そうでなかったらホームランは打たれへんやんか、きっと。
空振りするほど全力でいつも振り切ってこそ、ホームランの可能性は そこにあるわけで。
 
杉本 今でもね、連ドラの演出やったりせぇへんか?みたいな話が あったりしてね。。。
高須 ええやんかぁ、やれよ〜。
杉本 いや、でもそれにかかりっきりになりたくはないのよー。
絶対バラエティやっときたいねん。
で、バラエティもやりながら さらっとドラマもこなす、ぐらいにやっときたいわー。
高須 かっこええなぁ(笑)。
杉本 バラエティーのディレクターでドラマに転向して、ズーッとそっちの方へ 進む人いるやん。
ディレクターってどっかドラマや映画に憧れてるから…それはそれで選ばれし人やと思うねんけど。
で、俺も例えばそれをやってしまったらさ、
「あ、結局杉本くんも最終的にはドラマとか映画とかやりたかったんやね」 って思われそうやん。
そこでピリオド打たれてしまうというか、 終着点みたいな、高尚なイメージあるやん。
だからこそ、俺は絶対バラエティやってたいのよ。
「あいつ、どーしたいねん、何を撮りたいねん、それで結局!」って 思われたい。
バラエティが足掛かりやった、みたいに思われるのは どうも悔しいというか、本意じゃないんよね。
つまらんこだわりかもしれんけどさ。
高須 終着点を決めたくないわけやね。 それも俺は、全然ええんちゃうかなぁ、と思うよ。
笑い・バラエティやっときたいっていうの、モノヅクリって意味で 大事やと思うし。
…まぁ、テレビの仕事がどうしょーもなくなったら、
いざとなったら 水商売があるからなぁ、お前さんには!(笑)
杉本 おぅ!いつでも行けるなぁ!(笑)
  さてさて、お話は尽きることなく、このあともしばらく続いたのでありますが、
対談としてはこれにて一応の終焉でございます。

お二人の一致ポイントはたくさんあるようでした。
「こんな画が撮りたい!」という欲求の高さとか、
「こんなことがおもしろい!」というポイントの似通 り具合など
テレビ作りのポイントポイントが、非常に心地よく会話できる二人なのです。
対談のテンションもいい加減なようでいい加減じゃなくて、
なんだか即興のセッションやってるような、そんな気持ちよさがありました。

二人の試みは新しい会社という形になって進んでいくようです。
どこまで行くのか、どこまで行けるのか。
やんちゃな二人の心が純粋に機能していきさえすれば、
きっと明日のテレビ・映像文化はますますおもしろくなっていくことでしょう。

無邪気な二人が、無邪気に炸裂していける未来でありますようにと祈りながら、
今回の「御影歌」は、ここまでということで…。
武内絵美
久保田智子
杉崎美香
中野俊成
そーたに
おちまさと
鈴木おさむ
鮫肌文殊
村上卓史
都築浩
三木聡
倉本美津留
かわら長介
海老克哉
小山薫堂
大岩賞介
佐々木勝俊
堀江利幸
町山広美
高橋ナツコ
松井洋介
宮藤官九郎
樋口卓治
渡辺真也
田中直人
山名宏和
杉本達
片岡飛鳥
合田隆信
小松純也
加地倫三
タカハタ秀太
土屋敏男
高須光聖
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